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 がんとは生体にできる悪性腫瘍(しゅよう)。癌腫と肉腫の総称です。なんらかの原因で臓器などの細胞が無制限に増殖するようになり、周囲の組織を侵し、他へも転移して障害をもたらし、放置すれば生命をも奪うまでに増殖する病気で、狭義には、癌腫のみをさします。

 がん腫=皮膚の表皮、消化管の粘膜、肝臓といった上皮性細胞から生じた悪性腫瘍(しゅよう)。癌化した細胞が増殖・浸潤・転移し、進行すると疼痛が激しく、全身状態が悪化します。発生部位により、胃癌・肺癌・乳癌などとよびます。早期に発見することががんの治療の上で最善の方法ですから、何の症状がなくとても年に1〜2回のがんの検診を受けるべきでしょう。

 がんと言えば一般に、悪性腫瘍全体の総称に用いられていますが、厳密には、この中にがん腫と肉腫とがあります。がん腫は体細胞の中の上皮性細胞から変化したものであり、肉腫は非上皮細胞から発生したものをいいます。
 
 上皮性細胞とは、皮膚の表皮細胞をはじめとして、消化管。呼吸器。泌尿器、生殖器、唾液腺、肝臓、すい臓などの細胞で、何らかの形で外界と接触しているものをいいます。(肝臓やすい臓も輸胆管や輸すい管が十二指腸に開口していて、そこから外界と通じている)。

 これに反して非上皮細胞は、結合組織、筋力、骨、血液など外界と直接通じていない細胞です。これらに発生する肉腫には、骨髄腫、リンパ肉腫、白血病などがあります。
 
 ● 腫瘍

 人体の最初は女性の持つ一個の卵細胞です。この卵細胞に一個の精子細胞が授精して胚になり、母親の子宮内で、母体より栄養分を受けて、毎日分裂、増殖を続けます。この胚の中にはすでに将来、からだの各部分に進化するものが含まれていて、頭、四肢、内臓などが作られていきます。したがって生まれた時には、すべての臓器が小さいながら完成した一個の人間の姿となってあらわれます。
 このように、体のすべての部分は男女の一個ずつの細胞が合体してできた胚の中にプリントされていてそれが成長したもので、ロボットのように、多くの部分品を集めて作られたものではありません。

 分娩後は、体外から栄養分をとりながらさらに分裂増殖をしながら幼児から小児へ、さらに成人へと成長していきますが、成人としてある程度の大きさに達するとそれ以上には増殖しません。

 すなわち、胃、肝臓、すい臓などすべての臓器は一定の大きさになると発育を停止し、無限の成長はしません。しかしこれらの細胞は新陳代謝を繰り返しているので、いっぽうに死滅する細胞ができますが、いっぽうそれを補う程度に新しく補充することができます。これを再生といいます。

 人間はこの死滅と再生が調和よく繰り返されているので、生命が保持されているのです。人体の大きさと形は一定に保たれませんが、内面的には死滅と再生が繰り返されていて、昨日の自分は今日の自分ではないともいえますし、またこの生理的な新陳代謝が調和されている間は健康であるとも考えられています。

 ところが、からだのある部分に、この生理的再生が限界を超えて行われ、異常な細胞の集団ができることもあります。これが腫瘍といわれるものです。

 この腫瘍のうちには、良性のものと悪性のものがあります。良性の腫瘍は、異常の細胞集団ではありますが、その発育がきわめて遅く、ある一定の大きさでとどまっている場合には人体には害毒をおよばさないものです。腺腫、脂肪腫、線維種などがそれです。

 これに反して、その分裂、増殖がきわめて急激で、しかもとどまることがないものが悪性腫瘍で、がん腫や肉腫をはじめ、白血病、婦人科の絨毛上皮種などがこれです。

 ● がんの発生部位

 
がんの発生は細胞の分裂再生能力に関連するので、生理的に細胞分裂や再生能力の盛んな部位に発生しやすいものです。たとえば、消化管、呼吸器、性器、皮膚など、ちょっとした傷を受けてもすぐになおせるような系統に多発します。

 したがって、胃がん、直腸癌、食道がん、舌がん、肝臓がん、子宮がん、肺がん、乳がんなどがよく知られています。脳脊髄の神経細胞や心筋細胞などは、生理的に一度死滅すると再生しない部分ですのでがんは生じないのが原則です。非上皮細胞組織では、リンパ節、骨髄、結合組織などのように再生能力の盛んなところに肉腫が生じやすいものです。
 


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