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 健康というと、からだが丈夫であるというように取られますが、これは心を短縮したもので、いかに肉体が丈夫であっても、この肉体に宿る精神が調和のとれた程良いものでなければ、健康とは言わないものと思います。

 昔から「健全なる精神は強健なる肉体に宿る」といわれていますが、これは肉体が丈夫であれば、立派な精神が宿るのだと解釈されやすいのですが、原文のラテン語の意味では「強健なる肉体に、健全な精神が宿ることが望ましい」ということのようです。

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 立派なスポーツマンで、鍛錬によって強靭な肉体を養い、隆々とした筋骨の持ち主であると同時に、フェアな、ルールをしっかり守る精神の持ち主を見るすることがありますが、このような人こそ真の健康な人間ということができるのではないでしょうか。
 立派な肉体をもっていても、よこしまな精神の持ち主であれば、真の健康体とは言えないと思われます。

 親しい人によく「からだに気をつけてね」といいますが、これは「病気をしないでね」ということであって、私たちの周囲の環境には、病気の原因になる因子がいたるところ、どこにでもころがっています。目に見えない細菌やウイルスのようなものから、環境を汚染する各種の化学物質や物理的危険がそれです。これらの危険から身を守るには、じゅうぶんな衛生知識を会得して、これらの危険に対処しなければなりません。
 昔は「人生50年」といわれていましたが、日本人男性の平均寿命が50年になったのは昭和22年のことで、それ以前は、男性は平均して寿命は50年に達していなかったのです。それが現在では、厚生労働省がまとめた「平成18年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は前年を下回ったとはいえ、男性は79歳、女性は85.81歳となりました。
 この寿命の原因は、公衆衛生思想の普及と医学の進歩によって、乳幼児の死亡が激減したこと、食餌内容の改善、文化の前進により、結核症をはじめとする各種の感染性疾患(赤痢、腸チフス、コレラ、肺炎など)に対する予防や治療の進歩によって、これらの疾患で生命を失う人が多いに減ってきたことによるものです。
 これに伴って、死因となる疾病が変化をしてきました。いわゆる成人病が増加してきているのです。
 経済が成長することによって、食物の摂取が容易になったため、つい過剰のカロリーを取るようになり、同時に車の普及、利用が増えて肥満となり、糖尿病や高血圧、血管硬化症が氾濫するようになり、また、成人に多いがんをはじめとする各種の腫瘍による死亡が増加している現状です。
さらに、飲酒、喫煙などの習慣がこれに拍車をかける状態にあります。従来、日本人のがん死亡の約半数は、胃がんでしたが、近年、日本においては、肺がんの発生が急速に増加していて、厚生省が発表した平成17年(2005年)の人口動態統計(確定数)の概況によると、がんによる死亡者は32万5941人で前年より5583人増えています。死亡総数108万3796人に対しがんの死亡者は30.1%を占め、死因の1位。男は19万6603人、女は12万9338人。部位別では肺がん6万2063人、胃がん5万311人、大腸がん4万830人、肝がん3万4268人となっていて、男の前立腺がんは9265人、女の乳がんは1万721人でした。
 肺がんの原因として、現在のところはっきりしているのは喫煙です。特に小細胞がん、扁平上皮がんは喫煙との因果関係が深く、タバコを吸わない人はほとんどかからないがんです。
タバコを多く吸う人ほど肺がんにかかりやすく、一般に重喫煙者(1日の本数×喫煙年数=喫煙指数が600以上の人)は肺がんの高危険群です。喫煙者の肺がん死亡の危険度は非喫煙者の4〜5倍と言われていますし、喫煙量が1日20本以上と多いと10倍以上、喫煙開始年齢が早いとさらに増加することが明らかにされています。
これ以外に、食事の欧米化、大気汚染なども言われていますが、疫学的にはっきりした証明はないのが実情です。特殊な肺がんとして、アスベストやクロムの曝露による肺がんがありますが、それは特殊な職業に携わった人の罹る肺がんであり、普通の日常生活を送っている人ならあまり心配する必要はないようです。
財団法人 癌研究会より抜粋

 私たち一般の人々にとって正しい医学知識をもつことは大切なことです。しかし、何が適正かということになると、いろいろ複雑な問題があります。明治時代、大正時代には適正とされた医学知識も、現在の医学からみると全く無意味なもの、さらには有害であるものも少なくありません。これは医学の進歩だけの問題ではなく、病気そのものの変遷、変貌も大きく関与しているようです。今日ではこの後者の要因をもつ病気の方が、むしろ多くなってきているように思えます。
 したがって「医学の知識」といっても、常に新鮮かつ現在にあったものを調べてみる必要があります。

 


 

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